はじめに
英語学習において、「たくさん聞けば自然に話せるようになる」と聞いたことはありませんか?
でも実際には、ただ英語を“聞き流しているだけ”ではなかなか上達しない…そんな経験がある方も多いはずです。
そこで注目されているのが、「Comprehensible Input(コンプリヘンシブル・インプット)」=理解できるインプットという考え方。
これは、新しい知識を学ぶ際に、言葉の意味や文脈が理解できる形で、情報を取り入れる学習法です。
簡単な言葉や具体例、イメージ図などを活用し、学習者が内容を自然に理解できるようにするのがポイントです。
とはいえ、
「じゃあ理解って具体的にどういうこと?」
「なんで理解が大事なの?暗記じゃダメなの?」
と疑問に思う方も多いと思います。
その疑問を1つ1つ解決していきます。

1. なぜ「理解できるインプット」が重要なのか?
人間は、理解した情報ほど記憶に定着しやすいといわれています。
丸暗記よりも、内容が腑に落ちた状態の方が、長期的に覚えやすいのです。
例えば
わかりやすい先生は、ただ教科書の内容を板書して、説明するだけではなく、
イメージ図やグラフを用いたり、面白いエピソード、面白い実験、実際の具体例等を通して、わかりやすい説明をしてくれます。
このような先生の授業は多くの学生が前のめりで参加し、テストの結果もいいはずです。なぜなら、楽しいので意欲的に学習に参加し、理解ができる上に長期記憶にも定着しやすいためです。
2.理解できないと脳は動かない
よく学校の授業で、「先生の話が理解できない」「教科書が難しくて読む気が起きない」という経験はありませんか?
これはまさにComprehensible Inputが不足している状態です。
理解できない情報がいくら多くても、脳はそれを処理できず、「ただのノイズ」として処理してしまうことがあります。
たとえば、物理の授業で
物体に力がはたらくと、物体は加速します。
このときの力・質量・加速度の関係を表したものが、運動方程式です。
運動方程式は「F=ma」で表します。
と言われても、何が何やらですよね。
これでは意味のあるインプットにはなりません。
このような授業なら10分で眠くなりますし、あとでノートやテキストを見返してもほとんど理解できませんし、無理やりテスト前に詰めこもうとしても、中々入りません。
そういった記憶はすぐに抜け落ちてしまいます。
一方で、
「F=ma」は、「力=重さ × 加速の速さ」ということ。
これをパンチ力で例えるならば、
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F(力) = パンチの威力
-
m(重さ) = 体重
-
a(加速の速さ) = パンチの速さ、移動速度
ということになる。
バキというアニメで、花山薫というキャラクターが戦っている時、
「握力×体重×スピード=破壊力」という説明がありますが、運動方程式を応用しているんでしょうね。

と説明されたらどうでしょう?
先ほどの説明よりはイメージが湧き、法則の意味も覚えやすくなると思います。
さらに誰かに簡単に説明するときも、記憶から引き出しやすくなります。
これが理解できるインプットの重要性です。
3. 聞き流しがダメな理由
よく英語学習で「聞き流し」が推奨されますが、完全に理解できない英語をただ聞いているだけでは効果が薄いことが多いです。
それはこれまで説明したように、
難しすぎる数学や物理の授業を、教科書通りに淡々と読まれても理解できず、眠くなってしまうのと同じ。
あとにはほtんど何も残りませんし、テストでいい点は取れません。

ではどうすればいいのか。
大切なのは、自分のレベルよりほんの少し上の、理解可能なインプットを得ること。
それにより、学習意欲も高まり、より効率的にスキルが身についていきます。
では実際に、Comprehensible Inputを英語学習に取り入れるにはどうすればよいのでしょうか?以下に、初心者〜中級者の方におすすめの勉強法を紹介します。
📺 映像+音声で「わかる体験」を増やす
動画やアニメは、Comprehensible Inputの宝庫です。
ストーリーがあることで、自然なフレーズ・実際に使える英語が身につきやすいです。
日本語音声+英語字幕から→英語音声+英語字幕→字幕なしとステップアップしていくと、語彙力、理解度、リスニング力がぐんと上がります。
📖 難しすぎない教材を選ぶ
「背伸びして難しい教材に手を出す」のは逆効果です。まずは簡単で、自分が内容を理解できるレベルの教材を選びましょう。内容を「理解できる」ことが一番大事です。
5. おすすめの学習方法と教材
✅おすすめの英語学習法
❌避けた方がよい学習法
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完全に理解できないネイティブ会話を聞き流すだけ
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難解な文法書・専門書から入る
言語を学び始めたばかりの人にとって、「子ども向け教材」は最高の味方です。
これは決して「子ども向けだから簡単すぎる」という意味ではなく、むしろ大人の学習者にとっても理解しやすく設計されている点が優れているのです。
たとえば、
Netflixで配信されているアニメ「おさるのジョージ(Curious George)」は、Comprehensible Inputを見事に活かしている作品です。
「おさるのジョージ」は1話ごとのストーリーがシンプルで完結しており、繰り返し表現されるフレーズや、映像で視覚的に補完される説明が多く、英語を初めて学ぶ人でも内容がスッと頭に入ってきます。
また、アニメーションという媒体は、単語の意味だけでなく、状況や感情も一緒に理解できるのが強み。
例えば「George is hungry(ジョージはおなかがすいている)」というセリフが流れるときに、ジョージが本当におなかを押さえているシーンが出てくることで、「hungry」という単語が感覚的に理解できます。
ほかにも、
登場するキャラクターやモノを、
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「これはリスです」
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「どんぐりです」
-
「シマリスです」
と視覚的に見せながら、簡単な英語で紹介してくれるので、子どもでも内容を理解しやすく、自然に英語が身についていきます。
7.一度の視聴で理解できなくてもいい
一度の視聴ではわかるところが少なかったとしても、2度目の説明では理解できる部分が大幅に増えることがあります。
他の動画を見たりその他の経験を通じて
「この単語やフレーズはこういうことかな?」と仮説がたったりもします。
8.完ぺきな動画を探す必要はない
自分のレベルに合った英語の動画が、中々見つからなかったとしても大丈夫です。
自分より高いレベルの物は、適した教材よりも理解度が下がり、繰り返し見る回数を増やす必要がありますが、繰り返しみるたび理解は深まります。
自分はサイバーパンクというアニメが好きで、何度も見ました。
スラングもたくさん出てきて、レベルとしてはかなり高い物ですが、大好きな作品なので10回以上みることも苦ではありません。
結果的にたくさんのフレーズや語彙を学ぶことが出来、字幕なしでも楽しめます。
Comprehensible Input(理解できるインプット)を意識した学習法は、英語や他の知識を効率よく習得するうえで非常に効果的です。特に初心者や中級者の方にとっては、「わかる喜び」が学習継続のモチベーションにもつながります。
意味がわかるからこそ、言葉が頭に残る。覚えようとしなくても、自然と記憶に残っていく。
それがComprehensible Input(理解できるインプット)の力です。
「理解できる」→「おもしろい」→「続けられる」→「伸びる」
ぜひ、視覚・ストーリー・具体例を取り入れた教材や動画を使って、「理解しながら覚える」学習スタイルを取り入れてみてください!